フラット35を深堀してみる

フラット35の仕組み

フラット35をはじめとする長期固定金利商品は住宅金融支援機構が販売し、各金融機関が窓口になっている住宅ローン商品だ。金融機関は毎月住宅金融支援機構から指定される金利の範囲に、自らの利益を載せて販売する。現状の金利は最低金利を採用する金融機関がほとんどで、事務取扱手数料で収益を得ているか、費用に充当している。債権者である住宅金融支援機構は、住宅ローンを証券化し、投資家に販売する。住宅金融支援機構は、住宅ローンの利息から投資家に支払う利息の差額が収益となる。この証券化された住宅ローンが貸付債権担保住宅金融支援機構債券(機構MBS)である。

住宅金融支援機構債券の仕組み

債券は、資金調達を目的に発行される証券だが、利率や満期日が決まっており、満期になると額面金額を受け取ることができる。個人向け債券は別として、一般的に債券は市場で売買されるため需要と供給の関係で債券価格は上下する。発行主体は、国や地方公共団体など様々である。今回は、住宅金融支援機構債券について調べてみた。
※追記1:専門用語だらけなので、サイトを更新しながら、情報を整理し、その都度、疑問点も明示する。疑問点は将来に渡って解決できればと考えている。

  • 資産担保型の財投機関債
  • 住宅金融支援機構が提示する住宅金融支援機構債券のポイントは次の6つだ。

    財投機関債のバーゼル規制上のリスクウエイトは、10%である。

  • 均質かつ地域分散効果の高い住宅ローンプール構成
  • 住宅ローンの買取基準と証券の適格基準により、ローンプールの組成を均質にし、機構MBSのキャッシュフロー分析を容易にしている。

  • デフォルト債券等の信用リスクは機構が負担
  • 3ヵ月延滞までは、延滞がないもとして元利金が支払われる。4ヵ月以上の延滞はデフォルト債権の発生となり、当該信託債券は解約される。解約されると、繰上償還が実施され、以下の算式で償還額が計算される。
    「元本相当額×信託債権残高に対する機構MBS残高の比率」

  • 超過担保を設定することによりAAAの格付けを取得
  • 信託財産元本額=受益権元本額となるが、信託財産元本額に超過担保を設定することで格付けがAAAとなり、信用リスクを限りなく減少させている。投資家は金利リスクと繰上償還リスクに着目した投資をする。
    住宅金融支援機構の発行体としての格付けは、S&PからA+、R&IからAA+を取得している。
    S&Pが付与する機構MBSの格付けは、ストラクチャード・ファイナンス格付の識別子「(sf)」が付記される。

  • 機構MBSの元利金は信託債券プールの返済状況に応じて毎月支払い(月次パススルー方式)
  • 住宅ローンプールの元利金の支払額に応じて、投資家に対して機構MBSの元利金が支払われる。
    繰り上げ返済は繰上償還リスクとなり、当初予定していた利金が減少することになる。また想定信託債券残高が10%以下となったら、クリーンアップコールを行使できるため、投資家にとってのリスクとなる(繰上償還リスクである)。
    機構MBS償還額は、元本回収した翌月25日に金額が決定し、翌々月10日に支払われる。
    受益権行使事由発生前、機構MBSは超過担保との残高按分により元利金が支払われるプロラタ方式
    受益権行使事由発生後、受益権が超過担保に優先して償還されるシーケンシャル方式

  • 積極的なデータ提供により機構MBSの分析や投資判断が容易に
  • 機構MBSの分析や投資判断に役立つ情報は積極的に公開する。
    ・信託(候補)債券関連データ
    ・信託(候補)債券予定ファクター
    ・PSJ予測統計値
    ・ファクター等毎月開示情報
    ・属性分析データ(13項目)
    ・償還履歴データ(コアデータ) など

主なスキーム

住宅金融支援機構が住宅ローン債権を信託銀行に信託し、それを担保に債券を発行している。償還は月次パススルー方式を採用し、元利金が毎月支払われ、元本残額が当初元本額の10%未満になると全額繰り上げ返済が可能となるクリーンアップコール条項を備えている。信用担保の面では、住宅金融支援機構が発行主体になることに加え、調達額を超える担保資産を譲渡する超過担保をとることでトリプルエーを取得している。

関連用語 「財投機関債」

“財投機関債は、財投機関が民間の金融市場において個別に発行する債券のうち、政府が元本や利子の支払いを保証していない公募債券です。平成13年度の財政投融資改革において導入され、現在、財投機関の資金調達手段の一つとして機能しています。発行体の信用力に依存した普通社債(Straight Bond)と担保となる資産の信用力に依存した資産担保証券(Asset Backed Securities)の二種類に大別されます。
財投機関債を発行する際、財投機関はその財務状況や経営成績についてIR(投資家向けに行われる自主的な情報提供活動)を通じて外部の評価を受けることになるため、発行額にかかわらず財投機関債には財投機関のディスクロージャーを促進させ、事業運営の効率化を促す効果があると考えられます。他方、財投機関債の利回りは国債利回りと比べ高金利であることに加え、発行から償還までに諸費用を要するなど、財政融資や政府保証債と比べ高コストになることから、効果と調達コストを勘案しながら、財投機関債の発行額を判断する必要があります。
調達規模が少ない財投機関においては、発行ロットが小さくなると、流動性が低く、規模に対するコストも増大するおそれがあることから、相当程度の資金調達を行う財投機関において、財投機関債を発行することとしています。”
出典(引用):財務省『財投機関債とは何ですか』 

関連用語 「バーゼル合意」

バーゼル合意とは、バーゼル銀行監督委員会(注1)が公表している国際的に活動する銀行の自己資本比率や流動性比率等に関する国際統一基準のことです。日本を含む多くの国における銀行規制として採用されています。
バーゼル合意は、1988年(昭和63年)に最初に策定され(バーゼルI)、2004年(平成16年)に改定されました(バーゼルII)。その後、2007年(平成19年)夏以降の世界的な金融危機を契機として、再度見直しに向けた検討が進められ、2010年(平成22年)に新しい規制の枠組み(バーゼルIII)について合意が成立しました。
なお、バーゼル銀行監督委員会の常設事務局が国際決済銀行(Bank for International Settlements。略して「BIS」と言われます)にあることから、バーゼル合意は「BIS規制」と呼ばれることもありますが、BISとバーゼル銀行監督委員会は別組織のため、「バーゼル規制」がより正しい呼称と言えます。
出典(引用):日本銀行『バーゼル合意、バーゼルI、II、IIIとは何ですか? いわゆるBIS規制とは何ですか?』

関連用語 「PSJモデル」

※調査中

関連用語 「プロラタ方式」

※調査中

関連用語 「シーケンシャル方式」

※調査中

住宅金融支援機構債券と金利

第120回機構債

発行額 2,408億円
条件決定日(募集日) 2017年4月20日
発行日(払込日) 2017年4月27日
表面利率 0.40%
ローンチスプレッド 39bps(0.39%)
発行価額 100円
信用補完率 19.9%

表面利率は、額面に対する年利なので、年0,4円の利金が受け取れる。ローンチスプレッドとは、「表面利率」と「条件決定時の新発10年国債利回り」との差を表し、2017年4月20日の新発10年国債利回りが0.014%なので、ローンチスプレッドは0.39%となる(端数処理方法は調査中)。信用補完率は、信用補完÷貸付債権担保(機構MBS)で求められ、信用補完率約20%ということは、担保額の約2割を追加して、より信用度を上げていることになる。

第120回機構債 担保債権プールの属性

    

当初融資額総額 3,007億5,133千万円
融資件数(債務者ベース) 10,518人
平均当初融資期間 31.0年
平均融資率 90.24%
平均返済負担率 21.96%
加重平均金利 0.89%
加重平均残存期間 31.8年

フラット35は、返済期間に応じて金利が異なる。そのため、金利と残存期間は加重平均した数値が公表されている。それが加重平均金利と加重平均残存期間である。

平成28年度 債券発行額

貸付債権担保債券 2兆5280億円/一般担保債券 344億円/財形住宅債券 538億円/住宅宅地債券 783.42億円

住宅ローン 金利の構成

投資家に支払う利息等+機構が事業運営するための費用+民間金融機関の受取額相当(サービシングフィー)

つづく・・・

公庫MBS:NOMURA-BPI、日興債権パフォーマンス・インデックス、ダイワ・ポンド・インデックスへの組み入れ

出典:住宅金融支援機構『貸付債権担保住宅金融支援機構債券の概要』
参考文献:住宅金融支援機構『貸付債権担保住宅金融支援機構債券の概要』
参考文献:日本銀行金融研究所『住宅ローン債権担保証券のプライシング手法について』
参考文献:日本銀行金融研究所『証券化によるオフバランス化による問題』
参考文献:NRI北京金融システム研究『銀行融資のオフバランス化とリスク』
参考文献:新生銀行『証券化リサーチノート』

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